はじめに―鳥取県の高校野球の現状

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甲子園で、鳥取代表は圧倒的に弱い。それを示す数字。

はじめまして!鳥飼ねこと申します。
鳥取県人の高校野球ファンです(現在は東京在住)。

さて、あなたは、「高校野球の鳥取代表」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?
おそらく、「ぶっちぎりで弱い」ではないでしょうか。

その感想は、合っていますよ。鳥取県人としては悔しい限りですが・・・。僕は毎年、鳥取代表の試合を見ていますが、やはり弱いと感じます。もちろん、僕の感覚だけでなく、以下の事実を見れば明らかです(2018年現在のデータ)。

  • 1956年以来、62年間、「夏2勝」の壁を超えることができていない
  • 1988年以来、30年間、「春2勝」の壁を超えることができていない
  • 1990年~現在まで、春の選抜に「7回」しか出場できていない(単純計算で、4年に1回)
  • 1990年~現在まで、夏の選手権で「6回」しか勝っていない(単純計算で、5年に1回しか初戦突破できていない)
  • 高校野球100年の歴史を通じて、春夏合わせて一度も優勝したことがない
  • 高校野球100年の歴史を通じて、春夏合わせて4強以上は「6回」しかない(しかも、そのうち2回は戦前。最後の4強入りも古く、37年前)

どうでしょうか?
「鳥取って弱いよなぁ」というあなたの感覚は、数字を見ても正しいのです。

もちろん、鳥取の他にも「弱い県」はあります。
しかし、それらの県と鳥取と何が違うか、というと、「鳥取には”確変”が一度も起きていない」ということです。

「確変」とは、いきなり強くなることですね。
つまり、他の「弱い県」は5年に1度くらいは、旋風を巻き起こします。
たとえば、都市圏の野球強豪校に勝ったり、ベスト8に入ったり、ということですね。

鳥取は、それがないのです。ほとんど、初戦敗退です。たまに1勝くらいはしますが、それ以上は行きません。しかも、その1勝も、初出場校や公立校などの、弱い高校が相手の場合が多いです。「都会の野球強豪校」に勝ったりはしません(少なくとも90年代以降は)。

鳥取県の夏予選には、たった24校しか出場しない。

では、なぜ高校野球の鳥取代表は弱いのでしょうか?
よく言われていることが、

鳥取県の人口が少ないから

です。これは、たしかに合っています。鳥取県は、日本で一番、人口が少ないですからね。
2018年現在で、約58万人です。これは、東京都の足立区や練馬区より少ないです。

予選出場校はというと、たったの24校しかありません(2018年)。一番多い地区は年によって変わりますが、だいたい、神奈川県か愛知県です。この2県は、190校近く出場します。数の論理からいって、たしかに不利です。

ただ、僕は思うんです。「予選の出場数が少ない」ことは弱い原因のひとつですけど、どうもそれだけじゃない、と。その証拠に、以下を見てみてください。予選出場校の「多い、少ない」のランキングです。

—- —- —- —-

予選出場校の「数」ベスト10、ワースト10(2015年)>

鳥取県以外の、「予選出場校数」が少ない県は、強い。

どうでしょう?ベスト10は当然、強い県ばかりですが、ワースト10を見てください。鳥取以外は強い県ですよ。

たとえば・・・

「福井県」は福井商業、敦賀気比がいつも活躍しますね。

「高知県」は言わずと知れた、松井秀喜の5敬遠で有名な明徳義塾。他は、高知高校、高知商業も好成績を収めています

「徳島県」は古くは池田高校。今は、鳴門高校がベスト4によく残ってます(しかも、鳴門は公立高校!)。

「山梨県」もよく上位に行きますね。山梨学院や東海大甲府が強豪相手に勝ったり、上位に行ったりしています。

「和歌山県」は、箕島、智辯和歌山です。説明不要。

「島根県」は、開星が強いです。野々村直通監督の「21世紀枠に負けたのは末代までの恥」発言で有名ですね。ちょっと古い話だと、浜田高校がソフトバンクの和田毅投手を擁して帝京にも勝ってます。しかも浜田高校は公立ですよ!

香川県」は僕の世代では尽誠学園が強烈にイメージに残っています。伊良部秀輝投手を輩出しました。

佐賀県」は1994年に佐賀商業、2007年に佐賀北が優勝してます。どっちも公立で、しかも終盤に逆転満塁ホームランで勝つという強烈なイメージを世間に残しました。個人的には、この2校の優勝は松坂フィーバー、ハンカチ王子フィーバー以上に興奮しました。

奈良県」は天理や智弁学園が有名ですね。

鳥取で甲子園によく出る高校。あなたは知っていますか?

・・・と、以上、鳥取県と同じく予選出場校の数が少ない高校を見てみました。どこも好成績を収めている県ですね。

じゃあ鳥取は、というと・・・どうでしょうか。

まず、野球で有名な高校はありません。実際、あなたは思い出せますか?鳥取代表で有名な高校を。高校野球ファンですら、なかなか思い出せません。いや、思い出せないだけならまだいいです。「あ~。なんか聞いたことあるかも」となる高校も、ほとんどありません。

実は、僕は鳥取以外の出身者に、試しに質問してみたことがあるんです。「以下の高校名を知ってますか?」と。

「鳥取城北、鳥取西、倉吉北、米子東(よなごひがし)、境(さかい)、八頭(やず)」

以上は、鳥取県の中では多く甲子園に行っている高校です。で、僕が質問してみた人たち(10人くらい)は、「全部知らない」と答えた人がほとんどでした。

かろうじて、「米子東(よなごひがし)の名前だけは聞いたことがある」という人が3人いましたが・・・

ちなみに、米子東は、今では全く甲子園に出なくなりましたが(※注①)、バブル期までは、常連でした。しかも、そこそこ強く、東京代表に勝ったりもしてます(vs東亜学園。1986年夏)。

また、米子東には、戦後まもなくの時期、「長島康夫」という全国的なヒーローが現れています(”戦後の日本を勇気づけた”的なことでよく名前があげられる)。また、1960年の選抜では、準優勝もしています。

なので、団塊の世代以上の方にとっては、「米子東」は、まあまあ耳に残っている名前と言えるでしょう。しかし、この他の高校は、全く知られていません。県外の人の記憶にかすりもしていないのが現状です。

ただし、僕がこの質問をしたのは2012年ごろなので、今だったら、”鳥取城北”の名前は記憶されている可能性はあります。鳥取城北は、2009年の初出場以来、甲子園常連の仲間入りをしています。野球ではありませんが、大相撲の白鵬・日馬富士・貴ノ岩が起こした一連のスキャンダルの背景となったことでも話題となりました。

※注① 鳥取県民に朗報!2018年11月3日、米子東が秋の中国大会で決勝に進出しました。つまり、来春の甲子園選抜大会に出場が当確しました。広島2位の市立呉高校との準々決勝で、延長タイブレークの末の勝利です。

ちなみに、米子東の最後の甲子園出場は、1996年春です。

米子東の2019年選抜甲子園出場が正式に決定しました!!(2019年1月25日情報)

鳥取県は、プロ野球選手もほとんど輩出していない

また、鳥取県は、プロ野球選手もほとんど輩出していません。これは、他県に比べて「圧倒的に」少ないです。2018年現在、鳥取県出身のプロ野球選手は「ゼロ」です。

もっとも、統計の取り方によっては、広島東洋カープの九里亜蓮選手を入れて、「1人」とする場合もあります。ただし、九里亜蓮選手は「鳥取の高校野球」を経験していません。高校では、岡山県の岡山理大付属高校に進学しています。

また、能見篤史選手(阪神)、藤原良平選手(西武)を鳥取県出身の選手として数える場合もあります。しかし、能見選手も藤原選手も、あくまで出身は兵庫県で、鳥取県にいたのは高校3年間だけです(野球留学。2人とも鳥取城北高校)。

もちろん、九里選手、能見選手、藤原選手は、「我が鳥取県の誇り」です。僕は彼らを映像で見るたび、胸が熱くなってきます。多くの県民も、僕と同じ思いを持っているでしょう。

しかし、同時に考えなくてはいけないのは、この3人の選手は、「完全に”鳥取の野球”で育ったわけではない」ということです。野球に関していえば、あくまで「他の県のノウハウ」を吸収して上達し、プロになれたのです。

全ての期間を「鳥取で」野球をしてプロになっている人は、現役の選手では「ゼロ」です。つまり、鳥取には、「野球がうまくなるためのノウハウがない」と言わざるをえないのです。

なお、これは現役の選手に限ったことではなく、歴史を見ても、鳥取県出身のプロ野球選手はほとんどいません。

数少ない中でも、第一線で活躍した選手は、川口和久・福士敬章・角盈男・米田哲也・加藤伸一・小林繁の6選手にとどまります。
(戦前を含めるとあと3選手ほど増えますが、ここでは割愛)

ただ、その6選手はもう、ずいぶん前の選手です。他県の「元プロ野球選手」ならば、「引退して間もない人」がたくさんいるのですが・・・

こういうことも影響して、統計の数字以上に、肌感覚でも「鳥取県出身のプロ野球選手」は少ないのです。

人口が少ないから弱いわけじゃない!他に理由がある!

さて、ここまで、高校野球の鳥取代表が弱いこと、そして、プロ野球選手もほとんど輩出していないことを説明しました。一方で、鳥取県以外の「人口が少ない県」は、高校野球でいい結果を残していることも説明しました。

あと、これは長くなるので省きましたが、鳥取県以外の、「人口が少ない県」は、プロ野球選手も多く輩出しています。

つまり、ここからわかることは、鳥取県の野球のレベルが低いのは、「人口が少ないこと」じゃないのです。他にも要因があるということなのです。

僕は、鳥取県人として、いくつか思い当たる「理由」があります。で、このサイトを立ち上げた主旨は、その「理由」を明らかにして、それを「鳥取の野球が強くなるためのきっかけ」にしたいということです。

では、次の記事からいよいよ、その根幹部分に迫っていきます。

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