他県の野球のリアル情報をつかむために、「視察旅行」をしてみよう!

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どうも、鳥飼です。

前回は、「鳥取県は交通事情がよくないため、他県のリアルな情報が入ってこない」ことが問題であることを書きました。つまり、鳥取県内の常識でこりかたまってしまって「代謝」が生まれず、野球のレベルが上がっていかないということですね。

そのためには、他県のリアルな情報に積極的に触れていくことが大事です。そのための方法として、今回の記事で、僕の経験も踏まえたうえでの、ひとつの「提案」をしてみます。

他県のリアルをつかむために、僕からの提案。それは「視察旅行」

リアルの情報をつかむにはいろいろな方法がありますが、一例として、僕のアイデアを書いてみます。それは、

チーム内の有志5人くらいで、他県のチームの練習を見学に行く

という企画です。これを、定期的に部内でやってみてはどうでしょうか?
どこのチームも、たいてい、見学はできます。練習場が隠れた場所にあるわけではないので、普通に校庭やグラウンドの外に行けば見ることができます。

僕も、いくつかのチームの練習を見学したことがあります。でもなんだかんだで、近くに行くと、「怪しい」と思われてしまいますけどね。野球部員たちは、僕を関係者だと勘違いして、あいさつしてくれたりもします。そういう、微妙な空気が流れるので、正直に名乗り出るのがベストでしょう。

「鳥取県の〇〇高校の野球部の者です。勉強のため、ちょっとだけ見学させてください」

と。もしかしたら、そこから交流が生まれるかもしれません。最悪、見学を断られたとしても、問題はそこじゃありません。

実際に強豪高校に行って、校舎を見て、空気を感じること。このこと自体に、とても意味があるのです。

たとえば、

「甲子園で有名なあの高校って、こんな校舎だったんだ。部員たちはこんなところで高校生活を送ってるんだ」

ということがわかるだけでも、全然違いますよ。それを体感すると、いざ、甲子園で強豪校と当たったときも、「同じ高校生なんだ」と思えて、委縮することがなくなります。

僕も、いろんな強豪校に見学に行きました。

実際、僕は旅行のついでに甲子園の強豪校を見てまわるのが好きです。時間帯によっては練習風景を見れるときもあります。すると、甲子園で見たのとはまた全然違う印象を持ちますよ。

僕が見学に行った高校はたくさんあります。たとえば・・・

80年代、甲子園をわかせた宇和島東(愛媛)、取手二(茨城)、岩倉(東京)といった高校とか・・・。これらの高校は、全て優勝経験校です。優勝したときのことは、僕は今でも感動的に覚えています。

だから、実際に校舎に行くといろいろと感じるものがありました。

ダークホースから優勝まで行った、岩倉高校の校舎はこんなんだったんだ!」とか。

「桑田・清原のPL学園を打ち破った取手二の校舎って、こんなんだったんだ!」とか。

これは、ネットで画像検索してもわからないことです。その場の空気感は、実際に行かないと絶対に感じることはできません。

桑田・清原のPLに勝って優勝した取手二高の校舎は、しょぼかった(´・ω・`)

僕が実際に見学に行った高校を軽くレビューしてみますね。

たとえば、取手二高(茨城)。

今、これを読んでいるあなたは、取手二(とりでに)高に行ったことがありますか?行くと笑っちゃいますよ。

え!!これがマジで優勝校?

っていう感じです。小さな町の背後の山に、まるで隠れるようにして校舎があります。入口がどこかもわかりません。言われなければ学校だとも気づきませんここであの木内幸男監督が指導したんだなあ、と感慨にふけりました。

岩倉高校(東京)、銚子商業(千葉)も、なんだか地味な校舎でした(;^_^A

岩倉高校も目立たない校舎です。東京の街中に完全に溶けこんでいるので、ボケっとしてると車で通りすぎてしまいます(笑

沖縄旅行行ったときは、興南や沖縄水産にも行ったなあ。沖縄水産は、ちょっと特徴のある校舎でした。

あ、そうそう、あの江川卓を倒した銚子商業にも行きました。2005年には鳥取西とも対戦しましたね。校舎を見るとびっくりしますよ。

ちょっと、さびれた感じの場所ですからね。鳥取県はずいぶん田舎だけど、千葉県の銚子商業のまわりも正直、なんにもない。それどころか、丘の間に立っているので、車で行くと坂を上がったり下がったしているうちに通り過ぎてしまいます(笑

栃木の作新学院は立派な校舎!でも、同じ栃木の宇都宮南や小山高校は微妙(´・ω・`)

あとは、栃木の作新学院。幼稚園やら小学校まで含んだ、広大な校舎です。かなりお金がかかってます。立派な校舎でした。

同じ栃木だと、2008年に八頭(やず)高校と対戦した宇都宮南にも行きました。選抜で準優勝もしたことのある宇都宮南ですが、校舎を見ると笑っちゃいます。広大な田んぼの先にぽつん、と立ってます。面白画像とか、珍百景とかに出てきそうです。

八頭高校関連だと、2003年に対戦した小山(おやま)高校も行きましたね。これも栃木です。2003年の八頭といえば、小泉首相の始球式と、八頭の山田武キャプテンの感動の選手宣誓が印象的でした。

(ちなみにその選手宣誓には感銘を受けた人が多くいたようで、他県からわざわざ山田武キャプテンに会いに来た人もいたほど)

そのときに八頭高校と対戦した小山高校は、まるで小学校みたいな校舎でした。実際、近くに小学校もあるのですが、どっちが小山高校か、ぱっと見ただけではわかりません。

でも、野球部はその狭い校庭で練習してましたよ。こういう普通の環境から、あの広沢克己選手(ヤクルト、巨人、阪神)が育ったんだ、と感激しましたね。

あの校庭を見ていると、なんだか、鳥取の高校からもプロ野球選手がたくさん、出てきそうな気がしてきます。

他にも、たくさん、常連校に行ったことがあります。行くと必ず、「何か」が変わります。たとえ強豪校といえども、自分たちと同じ高校生だとわかります。なので、恐れが消えて、なんだか、自分たちも甲子園で上位に行けそうな気がしてくるはずです。

この「視察旅行」のメリット

僕が提案するこの「視察旅行」には、いろいろメリットがあります。

もちろん、部員全員で「視察旅行」に行ければいいですが、それでは大がかりになってしまいます。なので、あくまで有志5人くらいで行くのがいいでしょう。

メリットのひとつとして、「休める」ということがあります。

野球部の選手にとって、「練習を休める」のはうれしいことでもあります。視察旅行に行くことで、心と体を休めることができます。しかも、ダラダラ休むのではなく、「視察旅行」という形で意味のある休みになるので緊張感が保たれます。

旅行することで、メンバー同士のコミュニケーションが深まることにもつながり、チーム力が上がります。

また、残った部員たちは、その間、部員が欠けることから、少人数で内容の濃い練習もできるでしょう。

メンバー、レギュラーになれるかどうかの線上にいる選手には、チャンス!

そして、部員の多い高校の場合は、その間、数人が欠けるわけです。なので、「視察に行かない選手」は、練習で監督やコーチにより強くアピールできるチャンスも生まれます。

たとえば、「〇月△日に部員が視察旅行に行く」というふうに予定が組まれたら、その日までにいつも以上に力を入れて練習します。そしていざ、その期間の練習日になったら、監督やコーチにアピールできるパフォーマンスを練習で見せることもできるというわけです。

これは、メンバーに入れるかどうか、レギュラーになれるかどうかの線上にいる部員にとっては、モチベーションをさらに上げるのに役立つでしょう。

常にリアルな他県の情報と触れていることが大事!(鳥取の空気にこもらない)

で、視察旅行は一回で終わりではなく、3回くらいに分けて、違うメンバーで行くといいのではないか、と思います。あくまで有志で行くので、全員が視察旅行を経験するわけではありませんが、それでもかなりの効果があるはずです。

3回に分けていくというのも、「常に外部のリアルな他県の情報が入ってくる」という点で、いいと思います。一度にまとめて経験するよりも、ちょこちょこと、定期的に外部の空気が入ってくる方が、「新陳代謝」という点で見れば良いといえるでしょう。

もちろん、生徒だけで行かせるわけにはいかないので、保護者の協力を得ましょう。できれば監督かコーチも同行した方がいいとは思います。

以上、僕からの提案でした。もちろん、方法はこれだけではありません。大事なのは、鳥取県内にこもってないで、常に全国を意識しておく、ということです。

セルフイメージが大きい方が、鳥取県予選も突破しやすい

視察旅行、なんていう提案をすると、

「全国なんかどうでもいいよ。それより鳥取県予選を突破できるかどうかが心配・・・」

という声も聞こえてきそうです。でも、全国を意識しておくことで、結果的に鳥取県予選を突破しやすいチームができますよ。なぜなら、セルフイメージが大きい方が人間は疲労感を感じにくいからです。

セルフイメージとは、言い換えれば、「夢の大きさ」です。

たとえば、1kmのランニングをするとしましょう。この場合、だいたい、8000mあたりで疲れてきます。

しかし、10kmのランニングをする場合は、1km程度ではほとんど疲れません。8kmあたりでようやく疲れてくるのです。

これは、セルフイメージを上げたことによる効果です。最初から「10km走るんだ」と想定しておけば、1kmなんて通過点でしかなくなるのです。

「鳥取県制覇」が目標だと、途中で息切れする。「全国制覇」が目標だと、疲れない

高校野球に当てはめると、最初から「鳥取大会を制覇する」ことだけを見ているマインドは、1kmを走ろうとするのと同じことです。そうではなく、「全国制覇する」と決めればいいのです。つまり、10km走るんだ、と決めてしまうことが大事なのです。

そうすれば、鳥取大会を突破するくらいの苦労はなんでもないように思えてきます。これは、特に夏の鳥取県予選前に一番、効果を発揮するでしょう。

なぜなら、それまでひたすら全国を見据えて苦しい練習をしてきているわけです。つまり、大阪桐蔭とか、智辯和歌山を見据えてきたわけです。

で、いざ本番が近づいたころに夏の大会のトーナメント抽選結果を見てください。戦う相手はみんな、鳥取のチームばかりなんですよ?

「うわ。余裕な相手ばっかりじゃん!」

と思えてくるのではないでしょうか?

人間は、希望が持てるとパワーが出るものです。これは、「目標勾配効果」といって、有名な心理学実験でも証明されていることです。

で、セルフイメ―ジを大きく持つことで、この「目標勾配効果」が発揮されるのです。

目標勾配効果とは?

目標勾配効果とは、「ゴールが近づくと人間はパワーが出る」という心理効果です。

心理学実験では、以下のようなことが行われました(とても有名な実験です)。

「目標勾配効果」を示した有名な心理学実験とは?

実験内容は・・・

あるコーヒーショップで、ポイントカードをお客さんに配りました。それは、スタンプを集めたらコーヒーが一杯無料になる、というものです。

で、2種類のカードを配ってみたんですね。

①10個の空欄があるカード

②12個の空欄があるカード。ただし、すでに2個分、スタンプが押してある

です。以上が実験内容です。

で、その結果はどうだったか、というと、圧倒的に②の方のお客さんの方が、スタンプを最後まで集めることに成功したんですね。

①も②も、「スタンプを10個集めないといけない」ということでは同じです。しかし、②の方が、すでに2個スタンプが押してあることから、「目標達成できるかもしれない」という気持ちがわいてくるのです。

この気持ちこそが、目標勾配効果によるものなのです。

これを高校野球で当てはめれば、「鳥取予選だけを見ていたチーム」の場合、「スタンプが全く押されていないカード」をためるようなものです。一方、「全国を見据えてきたチーム」は、すでにスタンプがいくつか押されているのです。

つまり、普通なら、鳥取予選は24校の中から勝ち抜いていかないといけません。これは試合数にすると、5戦勝ち抜いて甲子園に行ける、という状態です(シード無しの場合)。

しかし、「全国を見据えてきたチーム」の場合は、「2戦くらい勝ち抜けばいい」というところまで気持ち的にハードルが下がるのです。

だからこそ希望が持てます。希望が持てると、パワーが沸いてきます。つまり、目標勾配効果が発揮されるわけですね。

トーナメントは短期決戦ですから、パワーが沸いてきている方のチームが勝ちやすいです。つまり、甲子園に出やすいわけです。

なので、「全国ばかり見ていると鳥取予選で負けるのではないか」という心配は、全くしなくて大丈夫ですよ。心理学の実験で証明されているわけですからね!

ぜひ、参考にしていただけたら、と思います。

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